だんじゅとゆまれる 名護のひんぷんガジュマル
推定樹齢は300年にもなると言う、国指定天然記念物のガジュマルがこの名護の「ひんぷんガジュマル」と呼ばれる大木です。
300年と言えば、琉球王朝時代からこの地に有るという話で、画像では分かりづらいかと思いますが、樹高20メートル近いこの木の迫力は、キジムナーが12匹暮らすと噂されるのもあながち嘘じゃないなと思えるほど見事、
是非、北部の地を訪れた際、特に三線を弾く方は、ひんぷんガジュマルに逢いに行ってください。
ひんぷんって何?
画像は琉球村にある古民家のひんぷんです。
ひんぷんというのは見ての通り、屋敷の門と母屋の間にある衝立てのことで、あけっぴろげな昔の沖縄の民家のプライバシー確保、みたいな役割に加え、沖縄のそこかしこにある石敢當の様な魔除けの働きも受け持ちます。
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名護のひんぷんガジュマルの下には、三府龍脈碑 (さんぷりゅうみゃくひ)と言う石碑が立てられており、この石碑がひんぷんに見えるからヒンプンシー(ひんぷん石)、ひんぷん石の側にあるからひんぷんガジュマル、
名護の町を覆い隠すぐらい大きなひんぷんガジュマルは、町を長きに渡り守ってきたひんぷんと言う存在でもあったと言う訳です。
三府龍脈碑も大変興味深い話を沢山聞いたのですが、これはまたの機会に。
三線弾きは是非 ひんぷんガジュマルを
三線弾きの自分にとって、このひんぷんガジュマルという大木は天然記念物に指定される有名な木を見たかった、と言うのとはまた別の意味で、逢いたかった木でした。
今の時代に歌い継がれている琉歌を紹介します。
だんじゅとゆまれる 名護の番所
松とがじまるの もたえ栄え
かの有名な名護の番所には、松とガジュマルの木が並んで栄えてる、と言うのが意訳となるのですが、この唄に出てくるガジュマルこそが、ひんぷんガジュマルなのです。
凄くないですか?琉球王朝時代に唄に詠まれたガジュマルとこうして対面できる!
ちなみに、番所と言うのは、琉球の島々の唄には頻繁に出てくる言葉で「ばんしょ」とか「ばんどころ」って読みます。関所だったり、お役人さんの詰め所、役場みたいな場所です。
これは、琉球の地だけにあった言葉ではなくて、江戸の時代には、自分たちが暮らす内地にもあちこちに番所はあって、琉球の地では今の時代にもこうして歌われているのです。
話を元に戻して、この場所に番所があった琉球王朝時代の話です。1695年頃にはすでに
この松に抱きついたがじゅまるの木は評判で、こうして琉歌として今に伝わります。
あれ?では、松の木はどこ行った?という話です、
もたえ栄えていた松の木は、月日が流れ、やがてガジュマルの木に飲み込まれ枯死してしまったのです。
今でも名護のひんぷんガジュマルを上空から覗けば、松の木があった場所は空洞になっているんだとか。空洞部分をこの目で見てみたいものです。
ガジュマル緑地
琉歌に詠まれた番所の松の木の末路の通り、ガジュマルの木は別名「締め殺しの木」とも呼ばれていて、大岩やガードレール、電柱に巻き付いた様子を気をつけて歩けば見ることが出来ます。
ひんぷんガジュマルの西隣に、ガジュマル緑地と言う小さな公園があるので是非散策してください、フクギに絡むガジュマルの様子を見ることが出来ます。
ここのカジュマルはアパヌクのガジュマルと呼ばれ、いつかはこのフクギもアパヌクのガジュマルに飲み込まれてしまうのでしょうか、ひんぷんガジュマルほどでは無いですが、アパヌクのガジュマルも立派な木です。
ちなみに、アパというのは水辺、ヌクは名護のこと、名護の水辺に有るガジュマルです、その昔はすぐ側が海岸線だったそうです。
また、この公園内には珍しいサガリバナの木が有って、普通サガリバナは夏の日暮れに咲いて次の日の朝には散ってしまうと言う珍しい花なのですが、ここに来ると昼間にも見れたりするのです、しかも一年中。
もちろん盛期は夏らしいですが、訪れた際には是非覗いて見てください、花言葉は幸運の花、是非、幸運を見つけてください。
アクセスと駐車場
沖縄県名護市大東1丁目1
すぐ近くにひんぷんガジュマル見学にどうぞという駐車場(有料)が、ひんぷんガジュマルから幸地川を渡った所にあります、周辺の駐車スペースはここだけなので利用しましょう。
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