三線の皮の種類の話
ゆくい三線サークル、スタッフQです。
自分も同じ質問したことがあります、三線を初めて見る方とのやり取りの定番の一つが
「この三線の皮ってハブ?」
「これはね、ニシキヘビの皮」
そんなやり取りだといいます。
三線の皮の種類は三パターンある
本皮に強化張り(二重張り)、人工皮、三線の胴に使われる皮は三種類あります。今回は、それぞれの特徴などを紹介します。
本皮張りの三線
こんな風に、美しく並んだ蛇の鱗模様は、間違いなく本皮張りの三線の魅力の一つだと思いますが、蛇が苦手で、と言う方も時々おられます、誠に残念。
本皮張りの三線には東南アジア方面から輸入される、養殖されたニシキヘビの皮が使われます。(野生のニシキヘビは取り扱い不可なので)
本皮にはランクがある
これが三線の皮に加工される前のニシキヘビの皮、4~5メートルある大蛇です。
この画像では分かりづらいかもしれませんが、右上と左下の模様が違います。ヘビ柄は人の顔と同じで、似たような柄はあっても同じものは有りません。
画像の右上が蛇の頭の部分、三線に使われる皮は、左下の尻尾の方から四角に切り取られ1番皮、2番皮と呼び加工され三線になります。
鱗が大きくて、揃っている皮は厚みも有るため、強い張りにも耐えられるなどと言われますが、好みの音は人それぞれだと言うこともあり、一概に1番皮、2番皮が良いとは言えないものの、番手の数字が小さいほど上等皮だと言われます。
指摘されてからこうして見比べると一目瞭然、首に近いほど濃い部分の柄も小さく、鱗も細長く不揃いになります。
首のすぐ近くは、幅が足りなくて三線には使用できませんが、これらの細い皮は、後で紹介する二重張りの三線などに使用されます。
本皮には寿命がある
数ヶ月で破れてしまうと言うことは、まずありませんが、本皮の三線は、いずれこの様に鱗と鱗の間に亀裂が入りパックリと口を開けます。
こうなると、皮を張り替える必要があり、これが本皮張りの三線のウィークポイントだと言われます。一年後か三年後か判りませんが、皮の張替えはお金がかかると言うことです。
昨今はニシキヘビの皮の高騰など、良質の皮の入手が困難になって来ているとは良く耳にする話、これは、犬や猫の皮を利用する内地の三味線も同じで、天然素材の入手、もっと言うと、天然素材の皮を使うこと自体にも批判が有ったりもする時代です。
近い将来には、本皮は手の届かない高級なものになってしまうって意見も有り、三線弾きにとっては頭の痛い話です。
強化張り(二重張り)
強化張り(二重張り)三線の一番の魅力は、本皮の様に破れてしまうと言う心配をせずに、本皮張りの質感を楽しむことが出来ると言うこと。
最初にこのような、人口皮を張った上に、目の細かい皮を貼り付けることが多いです。
多いと言うのは、必ずしもランクの低い皮が使われる訳では無いと言うこと、上等皮を使って、見た目上等で破れる心配の要らない二重張り三線を使っている三線仲間が実際におります。
破れる心配が無いとは言っても、皮がすり減って下地が出てきたり、永遠に、ということではありませんが、、、
後、本皮はケースに入れっぱなしにしていたりすると、虫食いが発生したりもするので、ご注意を。
人工皮の三線
破れることなく、皮だけの値段を見ると一番リーズナブル、これが人工皮三線です。画像は人工皮の皮貼り中。
一概に人工皮が駄目だと言うことは有りません、実際には、奄美民謡で使われる三線の殆どは人工皮であったり、沖縄民謡の重鎮と呼ばれる先生方の中にも、好んで人工皮を使う方もおられます。
前途の蛇が苦手で、と言う方も、今は画像の様なミンサー織りやハイビスカスなどのプリント柄ならって大丈夫と言う方も居られますし、自分のデザインした三線を作ることも出来ます、人工皮ならではです。
こんな正方形のシートが人口皮三線の皮です。
蛇皮の手入れ
人口皮の三線や二重張りの三線の手入れと言えば、ホコリを払うぐらいで特にすることも無いです。
問題は本皮の三線です。専用の油が販売されてるぐらいなんで、お手入れは?って質問が有るんでしょうが、内地では、特に冬場の乾燥が皮にも良くないと言われるものの、正直、専用の油など使ったことありません。
先輩方も「弾くのが一番のメンテナンス」とか「てぃあんだー(手の脂)擦り付けとけば十分」などと言います。
なので、自分たちは、乾燥する季節には体と三線の為に加湿器付ける部屋に置くとかその程度が手入れだと実行してます。
【まとめ】三線の皮の選び方
三線の皮を選ぶ条件として思い浮かべるのは「値段」と「音の違い」主にこの二つだと思います。「安くて音の良い三線」が欲しいのは誰でも同じ。
前途の蛇の皮が怖いって方や、本皮反対の方除いて、やっぱり選んで欲しいと思うのは本皮張りの三線です。
一番皮と人口皮の値段の違いは、どうにかすれば、数万円にもなりますが、正直、三線の皮を選ぶ条件としてお値段と言う話に関しては、懐具合そのものなので、なんとも言えないと言うことで留めておきますが、
そもそも、「良い音」と言う言葉も、人それぞれな物は無いです。
本皮に強化張り(二重張り)、そして人工皮、どの皮が一番良い音がするのか、と言うことについて言及するには、正直、まだまだ沢山の文字が必要だし、それらを語るには自分自身の知識も経験も足りません、
現時点での三線の皮の選び方は、用意出来る予算を持って、三線屋ーにご相談ということになるでしょう。
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